シドニーを読むアテネの夏。
ちょうどアメリカにいたときだったので(部屋でテレビ見てるような体力もあんまりなかったので)開会式の映像はまだ1秒も目撃してないんですけど…。残念。
帰国後は日本の好成績にびっくりしつつ、結構みてます。
ドラマとかもともと好きじゃないので、つけっぱなしにしておくならオリンピックかなという感じで。
私は、スポーツはあらゆるものが苦手だしなるべくやりたくないし関心もないから観戦もしない、という非健康的人生を長いこと送ってきました。
でもオリンピックだけはちゃんとわくわくしてしまうのね。
ココ一番!最高峰!という(わかりやすい。そして私はそういうのに弱い。)臨場感にひきこまれるからなのかなあ。
村上春樹氏のシドニー! (ワラビー熱血篇)と、シドニー! (コアラ純情篇)。
7月の文庫新刊だったみたいで、成田空港で購入してそのまま持って行き、ものすごくはまってしまい、暇を見つけては読み込み、帰国までに往復2回分読んじゃった。
単行本化したときに買わなかったのは、「スポーツ実録もの」だろうから、こういうのは読んでも私にはつまらないかなという感じがしたので。
でもぜんぜんそんなんじゃなかった!
むしろ村上さんは、開会式に飽きちゃって途中で席を立って帰ってしまった(豪華景品も会場のゴミ箱へ(・A・))ような人なのでした。
「オリンピックは基本的に退屈」という距離感で終始淡々とシドニーで取材している独特な「冷め感」が実に小気味よかったり。
競技リポート以外に、シドニー(というかオーストラリア)の歴史や地理について細かく調べあげた、興味深い記述がたくさんあって、そちらもとても面白いです。
これはどちらかというと、旅行記に近い位置づけの本なのかもしれない。
私は、オーストラリアはメルボルンに行ったことがあるのですが、そのあたりの素敵なことも重ねてたくさん思い出すことが出来ました。
レストランにハズレがないというのも同感。
もちろん、知ってる人は知っている一面ですが「走る」作家として日々アスリートな日々を送る村上さんの、競技やその参加者たちを見つめる眼はとても深く的を得ています。
(当時の高橋尚子選手のような)ばりばりの勝者より、敗者を分析している目線がとても読みごたえがありますよ。
これは全く、単行本出た時点で買ってもよかったなあ!
でも、ぎりぎり今回のオリンピック直前に読めたことで、今年の気分の盛り上がりの大きな助けになったかも。
クールでリズム感のある、あの村上文体がきもちよく脳内に貼り付いて、アメリカの旅もとても快適でしたから。
とにかく、この夏の読みものとしてオススメですよ。
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そういえば、LAのウォーターグリルでおすすめされた「Olympic」という名前の牡蠣はとても美味しかった。
大ぶりで、あっさりとジューシィ。
きーんと冷えたビールをひとくち飲んだあとに、西洋わさびをちょびっとのっけて食べるともう......(涙)
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