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2005.01.26

P.コーンウェルのシリーズ新刊:「痕跡」

年末ぐらいからドカドカと本を購入しているので、溜まった過去の雑誌類(結局読み返さないし)を処分することでなんとか収納場所もぎりぎり確保中。
しっかし、肝心の頭に入れる(読む)ほうが遅々として進まず。
気がつくと、みんな最初のほうに栞がはさんであるままの、要するに「かじりかけ積ん読」というやつ。
ブログでレビューしてご紹介したい良書もたくさんあるんだけどなあ。
ま、いまようやく購入計画も落ち着いたところなのでどんどん未読山を崩しにかからないとー。
と、いうわけで、今後はどんどんレビュー記事が続きますよ!と陽気に宣言できるほどの集中力もない。
痕跡 (上) 痕跡 (下)
ここのところいつも、年末に新刊が出ているような気がする、パトリシア・コーンウェルの「検視官」シリーズ。
かなりのお気に入りです。
気づけばずいぶんたくさん出版されているので、私の部屋でもそろそろ、本棚1列全部がおなじみの青い背表紙になりつつありますよ。
さすがにこの世界の中では長い時間が流れてしまっているから、前作から登場人物の年齢設定を若返らせている(というか加齢を抑えている)そうだけれどそれも仕方ないかな。

まったく関係ないようにも思える複数の場所で展開するエピソードが、小説がすすむにしたがって、たたみかけるように収束しつつ、うわああこんな方向に転がるわけか!というオドロキもどっさり。
..というパターンは毎回健在なわけですが、今回の「痕跡」は今までと較べれば比較的静かな終わり方。
終結部での、ドンパチ←しごの末の捕り物劇や最後の最後の大ドンデン←若干しごなどは薄くゆるやかな味付けになっているので、読後感はちょっと地味かもしれないな。
しかし相変わらず登場人物たちの生活環境や心理の描写がすごく練ってあって、緊張感ばくばくです。
特に犯人が、そうなるに至るまでの人生模様がいつも感心するんだよねー。
最初からばっちりと悪人なわけじゃないんだよということで。
人間なにごともたくさんの複線がからんで行動するもんなんだ。

追記:あらためてAmazonのレビューを読んでみたけれど、まあやっぱりファンの皆さんは今回のおとなしめな展開にがっくりしているみたい?
私は、かえってこういう地味路線があってもアクセントとしてはいいんでないかと思うんだが!
確かに毎回こうだと困るんだが!

パトリシア・コーンウェルの食卓パトリシア・コーンウェルの食卓という、検視官シリーズ中で度々彼女が、相棒の刑事や恋人にふるまう料理のレシピをまとめた本まで買ってしまったんですが。
出来上がり写真もついているし、それぞれのエピソードを美味しい思いをしながら振り返るには最高の本です。
あったかい子牛肉のケイ特製シチューとか、腹が減る場面はいっぱいあったよね?
(イタリア料理に関するコラムも面白く読めます。
もちろん、小説中でその料理が出てくる部分の抜粋も長めに掲載されているので、シリーズのファンにはぜひおすすめしたい。)

ちゃんとそれぞれのレシピに親切なアドバイスが書いてある丁寧な構成なんだけれど、残念ながら料理そのものは私にはちょっと高度すぎというか、材料を見ただけで「いやーそういうものはレストランでしか食べたことないや」レベルなので(笑)。
あくまでも観賞用レシピ本です。
うーん、でもじっくり読むと面白いのよ。
それを台所で作ってる自分、いや、ケイのように万能な颯爽とした女性になっている自分、を妄想できる素敵な本です。


今までもこのことは書いたけれど、P.コーンウェルの「検視官」シリーズは、読み始めてからその後の私にけっこう大きな影響をもたらしました。
はじめは、仕事(宝石屋)の休憩に読むちょっとしたものを捜しに古本屋に行ったら、やたら品揃えが多くて目立っていたから(笑)状態よさげなものを1冊買ってみたわけで。
まもなくもう、気がついたらそれまで刊行の全作品を買い込んでたし、その後も必ず。
(オタクというか、コリ性なので。とことん集めるのは好き。)

読み始めた当時、主人公のケイよりも、その姪であるルーシーに惹かれましたね。
シリーズ一連のなかで、ルーシーは生意気な子どもから、タフな大人の女性にどんどん成長していってます。(やはり美しくて頭がよい。)
10代の頃からコンピュータを駆使してケイおばさんの右腕的役割で難解な状況を乗り越えていくという、あの才能にシビれました。
私がはじめて頭に入れたコンピュータ用語(「AOL」とか「UNIX」とかだけど(笑))ってこの小説にちりばめられた世界にあったことがほとんどなのです。
ルーシーの才知に後押しされて(?….ま、当たらずとも遠からず)仕事をやめた私は、すぐにパソコンを買ってスクールに申し込んでWordやらExcelやらを習いに行き、AOLじゃないけどニフティのパソコン通信(当時)も始めたのでした。

あと、たとえば、「Xファイル」のスカリーは、FBI捜査官でもありながら医学者でもあるのでたびたび検死解剖する場面があるので、きっとこのドラマへの興味もこの小説からつながっているんだろうなあとか思うし。
(ほんとに、この検視官シリーズは、もう少し年をとったらでいいから、ジリアン・アンダーソンにケイ役をやって映画化して欲しいのだ。
役柄がむちゃくちゃスカリーとダブるから本人も希望しないだろうけれど。
ジョディ・フォスターが候補にあがってるらしいけど、雰囲気としてちょっと違うんだよなあ。)

作者が実際に検視局勤務であったからこそ書けるような、いろんな状況の詳細描写や真に迫る怖さも、興味津々。
というわけで、このシリーズ未読の方、損はさせませんので、一冊目の検屍官から、ぜひ。
最新刊に行き着くまで、長いながらも充実した読書がたのしめますよ。

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コメント

そーいえば、ほしのちゃんとのおつき合い(不適切な表現でしたら削除下さい。苦笑)もケイからですねー。実は今回の読んでないんです。なんかあまりの平仮名の多さに怒りが爆発しそうで。老眼気味のぼくのためとはいえ、文字でかいし。ま、そのうち読み始めるでしょうけど。僕的には「ルガル」シリーズが大河ドラマだったんで、印象が強すぎで。
あ、まおにコメントありがとう。

投稿: サニー | 2005.01.26 07:53

「痕跡」は比較的地味めな展開なのですよ。
じわじわ怖いけど、グワーとかゴワーとかいうのは(?)ないので意外でもあるんですが。
マリーノが大変な目に遭いつつもきっちり働く回ともいえますのでこの点でも異色。
確かに、いままでのエピソードとのつながり感は欠けてるんですよね~今回。
ベントンとも別行動な設定がほとんどだし...。

うぅ、なんだか1巻目から読み直したくなってきた...。
昔と較べると確かに文字デカい...というか隙間が多いですねえ。

投稿: ほしの | 2005.01.26 14:26

うう、このレビューうれしい。
展開が地味な回があってもイイ!!
このシリーズ、人間関係も魅力ですよね。
私もルーシーファンなので、ルーシーの活躍を切に希望!!
マリーノがどんどん痛々しくなるのはつらいんですが。。。

投稿: shibata | 2005.01.27 15:46

どうもです。こんにちは。
リンクしておいてなんですが、このブログ書き終わってからアマゾンで「痕跡」のレビューを読んだんだけど、あまりのケナされっぷりにへこみました....。
(そ、そこまで言わなくても....て感じ(笑)。)

ここにきて、一冊目から読み直したい気にさせられるのは確かです。なぜだろ~?

投稿: ほしの | 2005.01.27 16:20

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