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2009.10.13

ハプスブルク展をみてきました。(+おすすめの服飾史本)

買い物用件でもほとんど行くことのない六本木方面。
夫が仕事の用事があるというので、これを機会に未見のいろいろを制覇しておこうと思い、かなり久々に出掛けてみました。
(これは連休前の話。休みの日に田舎からトーキョーに出てくるのは心身疲労しまくるので避けたい傾向に....)

東京ミッドタウンとか、お洒落ですわねー。
地元のショッピングモールとは何もかも違いすぎる。あたりまえか...。

下のほうの階は高級品が多くてぶらぶら外からみてまわるだけだったのですけれど、伊東屋やファーバーカステルがある階は、その他キッチン用品や雑貨のお店もあって、ようやく「おみやげ買って帰るかー」モードに。

結局、なぜか(地元でも買えると思うんですけど)、「白雪ふきん」の友禅染(鹿柄バージョン)を色違いで2枚、これで満足。
店員さんにきいてみたんですけど、これ、漂白剤のお手入れをしても模様の色が落ちないんだそうで!
今まで白無地を使っていたけれど、それなら今後は柄入りで買っていこうと決意。可愛いのが多い。
3年前に購入以来、ずっと愛用しています。
買い足しもしましたけれど、一番古いのでもクタクタなりに現役。

091009 国立新美術館

091009 国立新美術館金曜日は夜8時まで開催しているというので、夕方から行ってみたのが、ミッドタウンから近い場所で開催のTHEハプスブルク(ハプスブルク展)
会場である国立新美術館も行ったのは初めてでした。
おお。これか~!とカッコイイ建物デザインを眺めまくったのですが、「思ってたより小さいんだな..」という感想が頭の中をぐるぐる。
雑誌などの写真でこの内部の景色は知っていたのですが、どうも私の脳内では、(ガラスの曲面壁施設=)有楽町の国際フォーラムとごっちゃになっている感じ。・・・似てない?

今年は、オーストリア・ハンガリー二重帝国と日本の国交樹立から140周年、ということらしいです。
ウィーン美術史美術館、ブダペスト国立西洋美術館に収蔵されている、絵画と美術品が展示されています。
ハプスブルグ王朝は1200年代の終わりから約600年以上続いた家系で、世界史に詳しくなくても、「マリー・アントワネットもこのなかでの生まれ(そしてフランスに嫁いだ。)である」といえば、あーなんとなく...程度の雰囲気はわかるかも。
一族各君主を描いた宮廷肖像画以外にも、熱心に収集された1500-1600年代が主の欧州各地の名画の数々、が主な内容になります。
明治時代に日本からフランツ・ヨーゼフ皇帝へ贈られた、日本の年中行事や歳時記を描いた画帖や蒔絵調度の数々も里帰り展示されていました。

連休前の平日であったこともあり、まあまあ鑑賞しやすい客入りでした。
巨大な作品がゆったりめに展示されていて優雅な気分に浸れます。
そしてもちろんここは日本なので一切の写真撮影は禁止だったのですが、肉眼に焼き付けるべくひっしに見るようになるのでこれはこれでいいよな!と思い直しました。

より深く絵画の背景を理解しつつ眺めたければ、入り口でヘッドホン付きの解説機を借りればよいと思います。
絵画ごとに番号札がついているので、機械にそれを打ち込めば対応したナレーションが流れます。
今回、日本の美術館だから解説は(壁のパネルで短めのが)読めるからいいやと借りなかったのですけれど、いい絵が多かったのでやっぱり使いたかったかもと軽く後悔。
(パリではそもそも絵の名前すら読めなかったので、どの美術館でもこういう解説マシーンの日本語版を借りて鑑賞してました。
確かにこれをじっくり1点づつ最後まで聴きながらという方法は深すぎるので、ルーブル廻るのに1週間かかるとか言われるのも納得はできます...。
とはいえ、ぱっと見の鑑賞だけで絶対わからない、構図や色についての裏話や時代背景の解説が聴けるのでかなり面白いんです。
・・・とか偉そうなこといいつつ、絵の名前だけ画面で確認してどんどん早送りしてしまうのがデフォルトだった私...)

会場は、展示以外にも、「世界遺産」的な美麗映像ドキュメント番組を放映する部屋がありまして、ハプスブルグ王朝時代を理解するのに大いに助けになると思います。
幼児の頃から結婚の取り決めがされていたので定期的に肖像画が嫁ぎ先に届けられていたマルガリータ王女(今回のチケットにもその絵が印刷されてます)のことや、美貌のオーストリア皇妃エリザベート(肖像画がとても美しいです。必見。)の悲しい事件のエピソード等々、椅子に座れる休憩も兼ねて興味津々で鑑賞。

ここで売られている図録は2000円ですが、絵も解説文もボリュームたっぷりの画集として考えるとかなりお買い得なのでおすすめです。
オルセー美術館展のチケットも1枚付いてました!(←10/23までに行くと無料、それ以降は100円の割引券として使える)
せっかくなのでぜひ行きたいのですが、招待券が有効のうちにド田舎から出て行く気になるかなぁ.....。
(本家のオルセー美術館については、たいへん有意義に過ごせたので、ここにも旅行記の1つとしていずれ近々レポートしておきたいと思います。)


ファッションから名画を読む (PHP新書)今回のために買ったというわけではなくて、パリで美術館をいろいろ見てきた → さらに映画「ココ・アヴァン・シャネル」を鑑賞、という流れでなんとなく影響され(笑)、興味が深まってきて読んでいたのが
ファッションから名画を読む」という本。
結果的に、今回鑑賞の肖像画やその他人物画を鑑賞するのにとても大きな助けになりました。
(本当は、こういうのこそ旅行前に予習として読むべき本だったなあ。)

西欧の美術史をファッション(服飾)をテーマに解説してくれるもので、図版もオールカラーで美しい。
携帯しやすい新書なので通勤のお供や、息抜き時間の細切れでちょこちょこと読みつないでいくにも、ほどよくアカデミックな気分に浸りつつ難しすぎない内容かと思います。

女性の貴族階級の服装の変遷に重点を置いていて、ドレスの構造や素材の流行などの小話の数々が、実際の絵画を前にするとけっこう蘇ってきてためになりました。
時代ごとの文様や織布の歴史、化学染料が開発された時代を境に変貌した流行色の解説なども興味深いです。
各掲載図版の収蔵先の美術館なども巻末に一覧で載っており、旅先の美術館を訪れるときの助けになると思います。
もちろん、今回のハプスブルグ展で来日している何点かの作品についても解説があります。
(そのひとつ、「エリザベート」の肖像のドレス、うっとりするほど綺麗でしたよ。
実作品を、絵の具の立体感もわかるほどの間近で見れてよかったです。すごく大きい絵でした。)

肖像画において豪華な服装をきちんと描くということは、その対象の権威や富裕度を表現するための大きな手段のひとつでもあるのですね。
実際、絹の光沢やレースの繊細な文様など、ドレスの布地の写真並みにリアルな描写がされた数百年前の絵画を今までたくさん観てきましたが、ほんっっとうにこれは驚異的で、美術館に行く度にいつも感動しています。
こういうわかりやすい本で、アクセサリー観点の歴史解説本も欲しいなー。

というわけで絵画鑑賞だけでなく、ファッション雑誌が普段からお好きな方にも、読んで損はないと思いますのでぜひ手にとってみて下さい。

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コメント

はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いています。いつも読み逃げで申し訳ございません…

伊東屋プレミアムレザーの10年連用日記の記事をみて、2010年始まりの日記を購入してしまいました。ブログ内に記事リンクを張らせて頂きました。もしご迷惑であればお知らせくださいませ。

ファッションから名画を読む。書店で見かけて気になっていた一冊でした。うーん、ますます気になります。

投稿: chilili | 2009.10.19 17:54

はじめまして!
いつもありがとうございます。とても嬉しいです。
(今後もどうぞご遠慮なく...。)

10年日記、伊東屋版が罫線入りになっちゃったのは私も残念です。
でも博文館純正の無地版はこれからもずっと人気だと思います。
紙もいいし、とっても使いやすいですよ。
中身お揃いで、頑張ってつけていきましょうね!

「ファッションから名画を読む」、読みやすくて面白かったです。
いっしょに「世界服飾史」というちょっと厚い参考書も買ってみたのですが、これもよかったですよ。
貴族のドレスとか、日本の庶民にとっては非現実世界なところがきっと惹かれる理由なのかも...。

投稿: ほしの | 2009.10.19 18:12

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