「ヨーロッパの住宅広告」を読みました。
最近買った中でとても気に入ってる本です。
・ヨーロッパの住宅広告
お堅いビジネス話やレイアウトデザイン解説の類ではなく(全然違います)、「外国の不動産チラシを眺めていろいろ妄想しようよ」というのがテーマ。
著者が選んだ、主にヨーロッパ圏の物件広告がぎっしりと楽しく解説されてまして。
ここに住めたらいいのに~!とか、高くて無理ですわ~的なおしゃべりで頭の中がわいわいうるさくなってくるのですよ。
住んだらどんな生活になるか、を想像してツッコミを入れる、いわゆる「間取り図ネタ」が好きな人にはおすすめです。
・・・しかしそもそも「間取り図」どころか広さも表示されず、外観写真だけで売り出し中の物件なども普通にいくつもあって、不動産売買のお国柄が勉強できるのも面白いです。
内装写真はクールなデザイン家具でいっぱいのストックホルムや、質実剛健に情報を並べてわかりやすいドイツなど。
パリのエッフェル塔が窓から見える物件はこれがセールスポイントになるので高額・・・というのはきいたことがありますが、オランダの場合は風車がみえる部屋が高い、とか。ほほぅ...。
次々に物件広告を眺めているうちに、金銭感覚がどんどん狂ってくるのも著者からの注意事項として挙げられていますが、本当です。
「1億ちょっとか。この広さで意外と安くない?」と、ものっすっごっくありえない感想が、既に本の前半部分のうちから出てきて怖い。
(そして、いい感じのところが売約済みになってると少し悔しい。)
「ここの窓際にiMacのデカいの置いたらいい書斎になるわ」とか、行ったこともない国なのにライフプランを練り始めてしまうのもおそろしい。
ほんっと、頭の中で住む分には無料ですから!
私自身も、たまにいく海外では「此処に住んだとしたらどんな生活になるんかな」妄想をよくするんです。
少し低めに飛ぶ機内から、"ショッピングモールが程近い小綺麗なプール付住宅地"等を熱く見つめるのも好きで。
(とりあえずいつも、「買い物に便利か?」という件が最大のテーマです。)
この本によって街角の不動産広告の読み方がわかってしまうと、そんな空想にますます磨きがかかりそうです。
ヨーロッパ以外にも、香港や台北などのアジア圏もうしろにちょこっと特集されてまして。
実際に、シンガポールの巨大公団群(高層で、わりと綺麗。)を眺めるたびに「これは分譲?社宅?」と疑問だったのがナルホド解決してすっきりしました。
しかしとりあえず、日本の住宅は、海外に較べれば借りるのも買うのも高いですよねというのを裏返しで実感してます。
古くなるにつれて価値が下がっていくのが決定事項になってるし、自然災害も頻繁な国だから、そのへんがつらいところ。
そんなわけで、ぺらぺらとめくりながら少しづつ読み進んでは想像力をたくましくできるので、通勤通学のお供にもおすすめな感じです。
判型は、クオバディスのエグゼクティブとほぼ変わらない、つまり、「ましかくの小さめ」ってところもいいです。
この著者のましかく本シリーズ(と私は勝手に呼んでいる)、なんといっても過去に当ブログで各種紹介してきた「スーパーマーケットマニア」は大ファンです。
後発で似たようなテーマの本がどんなに市場に出てきてもやっぱり、好奇心パワーが卓越していて一番こちらに伝わってくるのが、森井さんの本だよなあ!と思ってます。
●過去記事で書いたレビュー:スーパーマーケット本新刊(米国編)。
↑ヨーロッパ編やアジア編への記事リンクも入ってます↑
他の地域の続刊もまたいつか出るのかな。楽しみです。
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コメント
こんにちは~。
これはっ、またまた楽しめそうな一冊!!
森井ユカさん、こういう方面も守備範囲だったのですね。
密度濃く味わえそうな本なので、ぜひぜひ書店で探してみたいです。
海外の街住まい・・・あこがれますよね~。
昔、パリで予約したホテルがなぜかメトロのはしっこという郊外の住宅地に位置していて、街に出るのは毎日大変だったんですが、夜になるとベランダのお向かいの暮らしぶりがとてもよく垣間見れて(灯りを付けているのにカーテンをひかないので、ついまじまじと見てしまった・・・)いい間取り、楽しげな暮らしだなあ、なんて思ったものです。一生のうち、一度は知らない外国で暮らしてみたいです。
投稿: はるる | 2011.07.12 18:15
うんうん、これは、はるるさんきっと大好きですよ。
先日発売になったばかりなので、レビュー記事が同じ日に重なったらどうしよう(笑)とすら思ってた!
実際に住むことはないんだろうけど、脳トレーニングに最適な本ともいえます。
各広告ごとに、妄想でいちいち目が泳ぐので長々と楽しめますよ~。
泊まったり散歩したりするだけで住人に(気持ちだけ)溶け込んでしまうのって楽しいですよね。
ちなみに私が泊まったパリの宿は、地の利を追究しすぎて、ドアを開けた瞬間「...6畳間..」と呟いたくらいコンパクトサイズでした。
投稿: ほしの | 2011.07.12 18:21