「風立ちぬ」を観てきました。
ちょっと経ってしまいましたが公開初日に行きました。
こんなに席が埋まってるのは初めて!と感動するくらいの混雑ぶりでした。
良かったです。
古い小説を読んだ後のような、遅れてじわじわ来るタイプの「いいもの観たなあ」感が…。
昭和初期のサナトリウム文学を下地のひとつにした世界なので、時代色に馴染み(←伝聞でもいいから体験的・読書経験的なもの)がない人とは感想も違うかもしれないな。
それに、反戦や愛国というほどの色も強くない(災害場面は出てくるけれど主に関東大震災の描写です)ので明確になにかメッセージを受け取る作品ではないように思います。
ネットを眺める限りでは、鑑賞後の感想が千差万別および賛否両論というのは頷けるなあ。
当時ならではの実直さで、世相的に必ずしも自分のやりたいことと会社指示の方向性が合致していない疑問や哀しさを抱えつつ、黙々と開発に励む主人公の実直さと、夫婦としては残りの時間がそう長くないであろうことに怯えながら過ごす姿が、こちらもいい大人として泣けちゃうんだよなー。
なんとなくわかりつつも、この二人がその後どうなったのか明確に描いていなくて、観客の想像にまかせていることも良いなと思いました。
なにはともあれ、キーアイテムは計算尺と鉛筆ですよ。
使い方はまったくわからないけれど、持ち運び自由だしモバイルパソコンみたいな存在に違いない。
主人公が朝から晩まで、(ある時は悲しさで涙を流しながらも)計算尺を駆使して図面の上にコリコリと数字を書き付けていく、文具好きとしてはそんな場面の数々が最も頭に残っているのでした。
庵野さんの吹き替えは、まあ結構起伏のない喋り方が主人公の生真面目なキャラクターと合っていて、予想していたよりはずっと良かったかもと思いました。
しかしあちこちで言われているとおり、これはジブリだからと小さいお子さん連れでワイワイ鑑賞する話じゃないのは確かなので夏休み気をつけましょう!
トトロっぽい可愛い動物も出ませんし、特に不思議なことも起きませんので集中出来ないかも。
ラブストーリーともいえるので、ちょい大人むけな場面も有りです。
ぽつぽつと映画の中で思い出されるシーンはあるものの本編のほうとはまた別モノ、といってよいものですが、元小説の「風立ちぬ」は青空文庫なので、下記リンク先(または青空文庫も読めるアプリ等で)無料で読むことが出来ます。
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○堀辰雄 風立ちぬ
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